なかでも注目は、「ストロング系」と称されるアルコール度数の高いRTDの売り上げが急激に伸びていること。同調査で、2009年は約2300万ケースだったストロング系商品のシェアは、2018年には約9500万ケースまで上昇している。この人気について、酒造業界に詳しいジャーナリストの永井隆さんはこう分析する。
「ストロング系のベースに用いられるウオツカは、無味無臭で果汁と相性がいい。それを人工甘味料で口当たりよく味つけしているため、ビールは苦くて飲みたくないという女性でも飲めるアルコール飲料として好まれています」
おいしさに加え、健康ブームの追い風もある。第一生命経済研究所の永濱利廣さんが解説する。
「ビールや日本酒などの醸造酒は糖質が高く、糖質制限をしながらお酒をたしなみたい人には、ウオツカや焼酎などの蒸留酒を用いた酎ハイ系が支持されます」
価格の面でも優れている。500mlの缶ビールは約270円だが、ストロング系酎ハイは約160円と安い。
「老後資金などの問題もあり、国民の節約志向が年々高まる中、安価でアルコール度数が高いストロング系酎ハイは、コスパのいいお酒として重宝されています」(永濱さん)
しかし、このコスパのよさが危険を助長しているという意見もある。
◆たった89円で酔える