実の子の愚痴を言う母親の決まり文句に、「あいつにそっくり」というのがある。“あいつ”とは、いうまでもなく仲の悪い夫のことだ。それに「姑に似ている」「夫の弟にそっくり」と、夫側の身内が続く。
それでも私の体験では、“血縁”の激しいギクシャクと、赤の他人の“親子もどき”の間に流れる冷たい空気は、まるで違うんだわ。
ということは、連れ子の父親や母親になるのはそれなりのストレスがあるはずで、いつ何が起きてもおかしくない(もちろん、いい関係を築き上げる親子の方がずっとずっと多いんだろうけど)。
そういう危うい家庭が日本中にどれだけあるか。厚生労働省によれば、平成30年度の婚姻件数が約59万組、離婚件数が約20.7万組。この数字をして「現代日本では3組に1組が離婚している」なんて報じられているけど、親の離婚で人生を変えられた子供がどれほどいるか…。
でも…怒鳴り散らし、15才の私に「女は高校に行くことはない。中卒で働け」と言って、一も二もなく丁稚奉公に出した義父だけど、大人になるにつれて、彼の立場もだんだんとわかってきてね。
義父が笑うと私もうれしいと心から思えるようになってから、昨冬、義父を見送った(享年81)。
まあ、いろんなことがあったけど、最後に「長生きしてくれてありがとう」と言ってもよかったのかなと、今は思っている。