ライフ

認知症の母の家には「解約しなければならないもの」だらけ

健康マニアだった認知症母。飲み忘れた大量のサプリが出てきて…(写真/アフロ)

 父が急死したことで認知症の母(84才)を支える立場になった女性セブンのN記者(55才・女性)が、介護の裏側を綴る。

 * * *
 母が認知症になり、のみ忘れた大量のサプリメントが出て来た。初めは無駄遣いを責めたが、ふと思い出すと、母は若い頃からよく健康情報を探し、いろいろなサプリを試していた。じつは、ポジティブな健康マニアだったのだ。

◆大量のサプリに驚愕。それでも母はあきらめない

 父が急死し、認知症の母が独居となり、しかたなく散らかった実家に踏み入ったのは、今から6年前のこと。

 母だけでなく、おそらく父も認知症だったのだろう。結局、使えずじまいのインターネットのプロバイダー、読まないで山積みになった定期購読の雑誌、重複して加入していた保険など、早急に“解約”しなければならないことがあちこちに埋もれていた。

 それを手探りで洗い出し、片っ端から処理するのが私の最初の任務だった。絶望的な気分で作業中、ふと目に入ったのが、何個も積まれた同じ瓶。サプリメント(以下サプリ)だ。もうそれを見ただけでイラッとするほど心がささくれ立っていた。

「何よこれ! なぜこんなにたくさんあるの!?」と、私は怒りを爆発させた。認知症の老親を怒鳴りつける己の情けなさもつらかった。

 その瓶は、数年前から愛用していた“脳にいい”というサプリだった。鮭などの魚由来の成分で、当時から話題だったDHAなどが入っているらしい。

「これ、頭がすごくハッキリするの。将来Nちゃんに迷惑かけちゃ悪いから」と、元気だった頃の母はよく言っていた。そういえば近所の同年代の友人や年下の叔母にすすめるのを見掛けたこともある。切実な思いを共有するおばさん同士の口コミは最強だ。長期購入者ということで、サプリの販売会社の人がインタビューに来て、母のコメントが会報に載ったこともある。

 鮭もDHAも認知症とは関係ないが、なんとなく腹が立ち、「もう、全然無駄だったじゃない! 解約するからね!」と言い捨てた。今思えば本当にひどいことを言ってしまったと、悔恨の一言だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン