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2019.10.07 16:00  NEWSポストセブン

秘密結社「チャイニーズ・フリーメイソン」に日本人初接触

中華会館内部で孫文をバックに記念写真。左から洪門会員、安田氏、ヒルバート(洪門幹部)、ほか1名。

「見ろ。これが俺たちの活動だ」

 ヒルバートがアルバムを取り出してページをめくってみせた。

 多数の五星紅旗(中国国旗)と「打倒日本軍国主義」と書かれた横断幕を前に、彼が演説のマイクを握っている写真だ。尖閣問題の抗議デモらしい。他にも抗日戦争勝利記念集会や台湾やチベットの独立反対デモ、南シナ海の島嶼の領有声明文の発表、胡錦濤など中国の指導者のカナダ訪問の歓迎集会など、中国政府寄りの運動が目立った。

 中国大使館・領事館の関係者の訪問も多い。「ずいぶん活発ですね」と感想を伝える。

「ああ。ご覧の通り、バンクーバーの華人コミュニティには多くの宗親会や同郷会がある。それらを束ねているのが、中華会館なんだ。それに隣の洪門民治党もそうだな。洪門はわれわれのいちばん重要な構成組織のひとつだ」

 なんと、尋ねるまでもなく洪門の話題が出てきた。

「洪門ですか。実は私、華南の伝統文化の研究をしていて洪門に興味があるんですよ」

 これはウソではない。中国の秘密結社は、私の学生時代の修士論文のテーマともかなり近い分野だからだ。

 洪門をはじめとした中国の秘密結社は、「会党(フイダン)」や「幇会(バンフイ)」とも呼ばれ、多くが清朝中期の18世紀ごろに中国南部の福建省や広東省で生まれたとみられている。

 もともとは、地縁や血縁などのセーフティネットを持たない貧困層出身者や出稼ぎ労働者の男性たちが、信頼できる仲間同士で『水滸伝』さながらの義兄弟の契り(異姓結拝という)を結ぶうちに、ネットワークが拡大して組織化したものだ。

 彼らが抱いていた秘密の目的は「反清復明(満洲族の清朝を打倒して漢民族の明朝を復興する)」。後年には孫文らの革命勢力の影響を受けて政治団体化したり、香港の三合会のようにマフィア化したりした例もあるが、本来は寄る辺なき弱き民の相互扶助組織だった。

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