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貴ノ富士への厳しい対応を相撲協会執行部が曲げない理由

千賀ノ浦親方の指導力が問われる(写真/時事通信フォト)

 2018年12月に幕内・貴ノ岩が暴行問題を起こしたことが発覚し引責により引退、2019年9月場所直前には、十両・貴ノ富士が付け人への暴行。差別的発言と貴源治による新弟子への理不尽な仕打ちが判明した。なぜ、角界では「暴力」「イジメ」が繰り返されるのか。2人が所属する(した)千賀ノ浦部屋で立て続けに問題が発生したことにも理由がありそうだ。

「この部屋はもともと、元関脇・舛田山(現・常磐山親方)が2004年に春日野部屋から独立して興し、2016年に元小結・隆三杉が『千賀ノ浦』を継承した。部屋で暮らしているのは先代の親方夫妻で、千賀ノ浦親方や女将さんは同居していない。暴力・イジメに気づきにくい構造があった」(後援会関係者)

 さらに複雑なのは、昨年10月に旧貴乃花部屋の弟子たちが合流したことだ。

「今の千賀ノ浦部屋には先代の弟子、現在の親方の弟子、貴乃花親方の弟子の3グループがある。最後に加わった貴乃花派が数も多ければ、来場所から大関に復帰する貴景勝をはじめ番付も上位。だから人間関係がこじれやすい。

 部屋によって、ちゃんこの味が違うように、やり方も考え方も違う。今回、貴ノ富士から暴力、暴言を受けた4人のうち3人はもともと千賀ノ浦部屋にいた力士。後輩力士も、入門した日から部屋で仕事を教えてくれた兄弟子ではなく、いきなり外からやってきた力士が偉そうに殴ってくるのだから、我慢できないでしょう」(同前)

 執行部と対立の末に引退した貴乃花親方の弟子たちだけに「不祥事があれば執行部は厳しい対応を曲げない」(同前)との話もあり、問題はこじれるばかり。

 協会に貴ノ富士への処分や再発防止策について問うたが、「現時点では今後のことについてはお答えできない」とした。

 角界から暴力などの陰湿な行為が消える日は、いつになるのだろうか。

※週刊ポスト2019年10月18・25日号

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