「芸人は落とすのが仕事」と話す。現在注目している芸人は?
◆いま注目している芸人は誰ですか?
──非関西系でM-1優勝を果たしたアンタッチャブル、サンドウィッチマン、パンクブーブーをはじめ、塙さんが他の芸人をどう見ているか、その分析も興味深かったです。サンドウィッチマンとナイツのネタは、実は似てるんですね。
塙:少し似てますね。ボケとツッコミのセンテンスが短くて、「言い間違い」がフィットするところとか。2007年、僕らが「ヤホー漫才」で一回戦、二回戦、三回戦と勝ち抜いて、準決勝は勝ち抜けなくて、敗者復活戦に入ったときにいたのが、サンドウィッチマンでした。サンドさんは戦意喪失するくらい死ぬほど受けていて、彼らはそのまま優勝したわけですが、この本では、そういうことも懐かしく思い出しました。やっぱり悔しいですけどね。
──現在、注目している芸人はどなたですか?
塙:うーん、たくさんいるから難しいですが……漫才では四千頭身ですね。突っ込みの後藤(拓実)君の声が小さいので、M-1のマイクで拾えるだろうかというのが、いま最も気がかりなことです。
それから爆笑問題さん。何が凄いって、今もネタをやり続けていること。僕らと違ってあれだけテレビに出ていて、現役の漫才師というのがカッコいい。僕らもそうですが、爆笑問題さんも時事ネタをやりますから、このニュースをどうやって斬るだろうかと気になるんです。尊敬していますし、自分でお金を払ってでも見に行きたい漫才師のナンバーワンです。
──やはり芸人はネタで勝負、ですね。
塙:芸人は落とすのが仕事ですよね。でもそれは、ネタで落とすしかないんです。たとえば日韓問題の落としどころって平和になることだと思いますが、それができるのは政治家であって、コメンテーターはできたとしても、芸人ではない。だったらオチがないことをやっているより、漫才一つ作ったほうが価値的だというのが僕の考えです。
◆塙宣之(はなわ・のぶゆき)/芸人。1978年千葉県生まれ。漫才協会副会長。2001年、お笑いコンビ「ナイツ」を土屋伸之と結成。08年以降、3年連続でM‐1グランプリ決勝進出、18年同審査員。THE MANZAI2011準優勝。漫才新人大賞、第68回文化庁芸術祭大衆芸能部門優秀賞、第67回芸術選奨大衆芸能部門文部科学大臣新人賞など、受賞多数。
◆撮影/内海裕之