どういう人が芸人に向いていますか? 「絶対漫才感」って何でしょうか?
◆あの事件がなかったら、お笑いをやってなかったかもしれない
──塙さんは「絶対漫才感」という言葉をよく使われます。ご自身はあると思いますか?
塙:あるんでしょうね。でも、面白い人が芸人になるわけではないんですよね。面白くても、人前に出るのが好きではなかったり、不得意な人は、作家とか、別の職業に付くのかもしれない。僕の場合は、ある時期まで人前で目立たないように、目立たないように生きてきたんですが、ある事情でウンコを漏らしたんです。それを機に方向転換を迫られた……、詳しくは本に書きましたが、やむにやまれずウンコの歌を作って歌ったらウケて、笑いに目覚めたんです。だから、ウンコを漏らしてなかったら、お笑いをやってなかったかもしれないです。
──そもそも「絶対漫才感」って何でしょう? たとえばザキヤマ(山崎弘也)さんのことを「先天性ボケ」と名付けています。
塙:僕もよくわからず使っているところはありますが(笑)、生まれつき歌がうまい人がいるように、生まれつき漫才がうまい人がいるということですね。一つ具体的な要素を挙げるなら、空気のよめないヤツはダメだと思います。空気を読んでいないように見せていても、あるいは読めないフリをしていても、実は芸人って、いちばん空気を読める人種です。M-1のようなコンテストで優勝するのは、その日いちばん受けたヤツで、それは一番空気が合っていた、つまり空気を読めていたということなんですね。