──今後のIT業界に何を提言しますか?
鈴木:元々はホンダ創業者の本田宗一郎さんから伺った言葉なのですが、発展途上の企業は「濡れ雑巾は絞るな」という考え方が大事です。
これは、コストを切り詰めるために(雑巾のように)ぎゅうぎゅう絞るのではなく、研究開発費をしっかりと確保して失敗を恐れずにチャレンジすることが重要という意味です。
たとえばトヨタ自動車さんやNTTさんなどの巨大企業になると、ちょっと節約すれば利益が出る。しかし、IIJは永久に無駄をしてチャレンジし続けないと成長しない規模の会社です。それを決して忘れてはいけない。それが巨大なライバルに立ち向かっていく上で必須の条件だと思っています。
【PROFILE】すずき・こういち/1946年、神奈川県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、社団法人日本能率協会の職員などを経て、1992年に株式会社インターネットイニシアティブを設立。
●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト):1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。
※週刊ポスト2019年11月1日号