◆「大物財務次官」を社長に招聘
──それ以外のビジネス展開は?
鈴木:昨年1月に出資会社20社とディーカレットを設立し、フィンテック事業に参入しました。ディーカレットはデジタル通貨の取引・決済サービスのプラットフォームを提供する会社で、日本のキャッシュレス化を後押しするサービスを提供していきたい。
また当社にはJOCDNというグループ会社がある。民放5系列15社とWOWOWが出資参画し、TVerなど国内向け動画配信のコンテンツ・デリバリー・ネットワークサービスを展開しています。今年2月には、世界初の4K映像・ハイレゾ音源のインターネット・ライブ・ストリーミング配信に成功した。当社には高い技術力の裏付けがあるので、そうしたサービスをいち早く提供していける強みもある。
IIJは、IT系の会社にしては珍しく、企業買収などをせずにここまで成長してきた。今後も世界で注目される技術屋集団を目指していきたい。
──経営体制では、6年前の2013年に大物財務次官として知られた勝栄二郎さんを社長に招聘した。
鈴木:彼(勝氏)とは古くからお付き合いがありました。変にIT業界にどっぷり漬かってきた人よりも、アメリカのようにもっと国家の政策的な視点を持った人に入ってほしかった。また、経済団体の首脳は皆さん重厚長大産業出身の人たちが多い。そうした産業の人脈も広いことからお願いしたわけです。これから先のIT業界は「会社だけが儲かればいい」という視点ではなく、「社会にどう貢献していくか」が大事ですから。