代わって急浮上したのがハーバード大学教授まで務めたエリザベス・ウォーレン上院議員だが、大企業への課税強化や富裕層の課税率を高くして貧困層に富を配分する格差是正などを公約に掲げるリベラル左派なのでウォール街の拒否反応が強く、アメリカ先住民のチェロキー族出身だとして優遇措置を受けてきた出自が虚偽だったという弱みもある。
今後の大統領選を左右する大きなカギになりそうなのはトランプ大統領の納税申告をめぐる問題だ。トランプ大統領は納税申告書の開示を拒否して訴訟まで起こしているが、この問題が長引けば、プア・ホワイト層からの支持を一気に失うことも考えられる。さらに、申告が公開されれば、今度はやっかみや不正申告への怒りで支持層から見放される。
そうなれば、民主党に追い風が吹く。同党の大統領候補者選びは来年2月3日のアイオワ州党員集会からスタートするが、歴史を振り返ると、今は泡沫扱いされている候補者がビル・クリントンやバラク・オバマのように急台頭して新大統領になる可能性も十分あるだろうし、トランプ大統領の劣勢が見えてくれば、共和党からも反乱分子が出てくるだろう。
※週刊ポスト2019年11月8・15日号