スーパーやドラッグストアなどに並ぶ日用品のパッケージは、どれも派手な宣伝文句で埋め尽くされ、オシャレじゃないと思っている人は多いだろう。そんな消費者の声に応えるように、近年、NB(ナショナルブランド)商品のデザインのみを変えたバージョンも販売し、売り上げを伸ばしているメーカーが増えている。値段は少々高めでもデザイン重視の商品が選ばれる背景について、経済ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。
* * *
トイレタリーやキッチン、バス回りなどの日用品に関して、消費者は普段、少しでも安く買いたいという意識が働き、商品のデザインなどには無関心な人が多い。また、実用本位で味も素っ気もないデザインの商品が多いのも事実だ。
そこに着目したのが、個人向け通販サイトのLOHACOを運営するアスクルだった。同社の取締役でBtoCカンパニーCOOの木村美代子氏はこう語る。
「NBの日用品は、スーパーやドラッグストアなどの店頭に並べる際、同業他社の商品よりいかに目立つかがすごく大事です。よって、パッケージには商品名以外に『除菌』とか『〇〇100%』『汗や匂いを根こそぎ取る!』といった文字が大きく表示されている。
でも、EC(電子商取引)ならばネット上のサイトでしっかり商品説明ができるので目立つ必要がなく、ECだからこそ生活者起点のデザインができると考えたのです」
アスクルでは2014年、マーケティング研究活動のECマーケティングラボをメーカーとの協働で立ち上げ、その後、毎年秋に「暮らしになじむLOHACO展」を開催、ラボの成果発表の場としてきた。
メーカーとのコラボ商品が登場したのは2016年からで、まず同年、当初からコラボに参画している花王の「リセッシュ除菌EX」がヒットしている。
「NB商品のままだと、(商品名や機能の表示が目立って)家の中であまり置きっぱなしにしたくなく、棚の中にしまうケースも多い。そうなると結局、使わなくなって余らせてしまうこともある。そこでデザインを一新した『リセッシュ』をLOHACOで売り出したところ、通常品より100円高い398円の値付けにもかかわらず、発売1年間の累計で、通常品の11倍も売り上げたのです。
お客様のレビューを見ると、『デザインが素敵で棚にしまわなくていいので、ベッドサイドや玄関、リビングに置くことができ、いままでよりも使う頻度や機会も増えた』といった声が多く寄せられました」(木村氏)