ビジネス

三菱自動車の新RVRが単なる「珍車」にとどまらない理由

今年8月にデザインを大幅変更した「RVR」(三菱自動車)

今年8月にデザインを大幅変更した「RVR」(三菱自動車)

 今年の東京モーターショーは、未来のモビリティ社会をイメージさせる体感型の技術展といったコンセプトを強く打ち出し、人気の市販車や発売間近の新型車の展示は控えめだった。そんな中でも、クルマファン注目のニューモデルはいくつか見られたが、自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が印象に残ったと語るのは、三菱自動車の意外な車種だった。

 * * *
 未来のモビリティエクスポをうたった今回の東京モーターショー。もちろんその体感は来場者にとってメインイベントとなり得るものだが、実際に会場を回ってみると、今すぐ乗れるクルマや近い将来乗れるクルマへの関心は案外高いものがあった。

 ホンダが来年2月に発売する予定のコンパクトカー「フィット」は、一度さわってみようという人が列をなすほどであったし、日産ブースでは案の定「フェアレディZ 50th Anniversary」が記念撮影をしようとする人に囲まれていた。スズキの次期「ハスラー」も人気の的だった。

 そんな中で、意外な人気を博していたケースとして印象に残ったのは、三菱自動車ブースの「RVR」である。現行の第3世代は2010年デビューと、登場からかなりの年月が経ち、今年8月に大幅なリデザインを受けてイメージを刷新しているが、古いがゆえにほとんど宣伝されておらず、依然としてマイナーモデルだ。

 モーターショーで市販車を見るのはある程度クルマへの関心が高い層が中心なのだが、それにもかかわらず初めて見たという来場者がかなりいたようで、展示車周辺では「このクルマ何?」という会話をしょっちゅう耳にした。

 RVRが思わぬ目立ち方をしていたのは、単に“珍車”であることばかりが理由ではないだろう。筆者個人の印象としても、今年のリデザインは素晴らしいもので、現行モデル登場後、最も魅力的なRVRという感があった。

 フロントマスクは三菱自の新しいアイコンである「ダイナミックシールド」の最新版で、バンパー上に大型のロードランプが装備されているものだが、「デリカD5」、「エクリプスクロス」、「eKクロス」など、同様のデザインが与えられた他のモデルと比較してもヘッドランプとの対比をはじめ、決まりが断然いい。

 展示車両は2つあるグレードのうち上のほうの「G」だったが、欧州仕様には昔からあったフェンダーアーチモールが新たに装備されたのも、RVRをより魅力的に見せた。小さな加飾ではあるが、オフロード車的な力感はそれがあるのとないのとでかなりの違いがあり、三菱車らしさが断然増した。

テールランプやバンパーのデザインも変更した新RVR

テールランプやバンパーのデザインも変更した新RVR

 世の中はいま、SUVブーム真っ盛りで、内外のメーカー各社はそれぞれ工夫を凝らしたSUVモデルを多数、市場に投入している。その中にすっかり埋没してしまったRVRだが、このリデザインによるイメチェンで、いきなり大穴たり得る存在となった気がした。なぜならば、このRVR、クルマとしての出来はもともと非常に良いものがあったからである。

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の判決は執行猶予付きに(画像はイメージ、Getty)
「何もついてない、まっさらな状態で抱きしめたかった」呼吸器に繋がれた医療的ケア児の娘(7)を殺害した母(45)が語った「犯行時の心情」【執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト