◆一子相伝の伝統技法を守っていきます
田村星都さん(39)は石川県小松市に工房「陶窯田村」を構える。九谷毛筆細字四代目で、父である毛筆細字三代目・田村敬星に師事し、2007年、九谷焼技術研修所実習科修了の田村さんはいう。
「『九谷毛筆細字技法』は九谷に古くから伝わる一子相伝の技。父である三代目・田村敬星の技を受け継ぎ、極細の筆を用いて、九谷焼の磁器に百人一首や古今集の和歌を描き込んでいます。
父のもとで修業を始めたのは24歳のとき。最初は手が震えて何も描けませんでしたが、30歳でようやく自分の名前で作品を販売できるようになりました。今年で15年目になりますが、父の技には遠く及びません。
直径3センチの酒杯の内側に、百人一首の全歌を描き入れることができれば一人前と言われていますが、私の腕ではまだ作れない。ただ極小の文字を描くだけではなく、器の形や絵柄とのバランスも必要です。書としての美しさを含めて作品が完成するので、そう簡単には作れません。目標は5年後。酒杯に百人一首を描き込むのが夢です。