◆陶芸の奥深さを日々実感しています
加藤仁香さん(47)は岐阜県可児市の陶芸家。岐阜県生まれの加藤さんは、1999年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了し、2000年には朝日陶芸展秀作賞、2001年には朝日陶芸展特別賞を受賞している。
「透光性のある白い磁器土を使って制作しています。絵を描くのは、緻密な作業。自然豊かで、家の中にヤモリや昆虫が入ってくるような土地で生活しているので、トンボや蝶といった身近な虫をモチーフにすることが多いです。
20年以上も陶芸に触れてきましたが、いまだに陶芸の奥深さ、難しさを実感しています。理論や技術を一通り習得したつもりでも、突き詰めればその先に新たな課題が見えてきます。
たとえば上手く成形して絵付けした器でも、焼き終わってみるまでわかりません。キレや割れなどで、絵や形が崩れていることも少なくないからです。だからこそ、思い通りの作品が焼き上がった瞬間は最高の気分です。その作品を手にした方が喜んでくださるのを見ると、舞い上がるような気持ちになります」
◆撮影/太田真三、平郡政宏 取材・文/戸田梨恵
※週刊ポスト2019年11月29日号