朝ドラ出演中の戸田恵梨香(時事通信フォト)
喜美子の夢は絵付け師になることにある。その夢を実現すべく必死に努力するはず。
例えば、火鉢の新しい絵付けデザインを考え描いてみる、という挑戦は重要なエピソードであり、喜美子にとって最大のエネルギーを発揮する場のはずです。ところが。あっという間にデザインは仕上がっていて、提出。それを会社が採用するかどうか、という話題に移っています。
絵付け師としての技術と未熟さ、努力や練習を重ねて壁を克服していくといった試行錯誤があまりにも少ない。『スカーレット』は女性焼き物師の人生を描くドラマですから、きちんと時間をかけて描写されるべきシーンではないでしょうか? そのあたりが伝わってこないから、余計におふざけシーンが目立ってしまうのかもしれません。
あるいは、しばしば登場する「ちゃぶ台返し」にしても、そう。「ちゃぶ台返し」というのは、たまにやるから効くのでは? ここぞという時に出す「必殺技」では?
しかしこのドラマではしょっちゅう、ちゃぶ台をひっくり返そうという父がいて、それを何度も止めようとする家族のシーンなどは、まさしく笑いをとるためのコントそのもの。妹が東京へ出て行くかどうかという真剣なシーンが、お笑いとりになってしまうのはちょっと残念。
大阪制作だから笑いを盛り込んだ吉本新喜劇風の演出です、と言ってしまえばそれまでかもしれません。もちろん笑いをとるシーンが入ってもいいけれど、やりすぎはどうなのか? 同じ大阪制作の朝ドラで大評判をとった『カーネーション』『あさが来た』には、うるささも違和感も感じなかったのはいったいなぜなのでしょうか?
戸田恵梨香さんも大島優子さんも期待している役者さんだけに、多くの人を楽しませ、感動させる朝ドラになって欲しいと願っています。この先まだまだ続く長丁場、応援しています。