日本人では武が4勝しているが、通算〈4 1 2 17〉。外国馬を迎え撃つ“日本の顔”だったが、単勝1倍台に支持されたメジロマックイーンやメイショウサムゾン、前年三冠馬ナリタブライアンなどでは期待を裏切っている。川田は6戦して2着3着が1回ずつ、田辺は4戦、石橋と津村は1戦で掲示板には載っておらず、松若は初参戦。岩田康が1番人気になったことがないにもかかわらず10戦3勝2着1回3着1回と好成績を残している。
今年はノーザンファーム3世代のダービー馬が揃うなど、正真正銘の「社台グループの運動会」になろうかという、現代日本競馬の象徴ともいえる顔触れになった。
ラヴズオンリーユーが回避したことで、ここ1年間のGⅠ馬がゼロ。これはGⅠ初挑戦のマーベラスクラウンが勝った1994年以来のこと。このとき出走した日本馬は「ここ1年」どころか、すべてがGⅠ未勝利という4頭。3着に入ったのは未勝利馬でありながら青葉賞3着、JC出走前はOP勝ちすらなく、ここまでの戦績が〈3 9 4 3〉という横山典騎乗のロイスアンドロイス。他の2頭はこのレース11着の後、日本馬として26年ぶりに海外の重賞(香港国際カップ)を勝ったフジヤマケンザン。そして、有馬記念3年連続3着などブロンズコレクターとしてその名を歴史に刻んだナイスネイチャだ。
これら1994年の日本馬と、いまだに勝ち鞍が「3歳未勝利」だけというエタリオウのイメージが重なる、というのはこじつけに過ぎないのかもしれない。父親がシルバーコレクターとして名をはせ、最後に香港ヴァーズを勝ったステイゴールドだが、JCで勝った産駒がいないのが不気味、というのも思い込みかもしれないJC未勝利ながら20回目の参戦という横山典の腹を括った騎乗はさらに不気味なのである。
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。