国際情報

焼き鳥店の開店時、5人で1本の串しか頼まなかった客の末路

焼き鳥店の開店をめぐってトラブル勃発

 大切なお客様か、迷惑客か、線引きは案外難しいものだ。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 中国の社会で、このところ頻繁に見かけるようになった言葉がある。「冷暴力」である。日本語に意訳するなら「嫌がらせ」となろう。真っ先に思い浮かぶのが、みかじめ料を払わない飲食店に対し、地回りのヤクザがする嫌がらせだ。中国社会でもむしろ古典的な手口として知られている。

 今回、社会に蔓延する「冷暴力」で話題をさらったのは、上海市内で互いに焼き鳥屋を経営する二つのライバル店の間に持ち上がったケースだ。ふたつの店とも「名門 焼き鳥」と名乗り店名も似ていた。そして開店以前からの因縁もあった。9月末に『新民晩報』などが伝えた。

 トラブルが起きたのは、今年4月末のことである。場所は上海市宝山区。同月浦鎮に除という人物が新しく開店した「名門 焼き鳥店」である。その日、祝いの花などが飾られた店に現れたのは、男ばかりで計25人の団体客であった。

 開店間もない不安な時期に、25人のグループの来客ともなれば、店主は歓喜しても不思議ではない。ところが、除さんは入ってきたグループのなかに二人の知り合いの顔をみとめ、表情を曇らせた。グループを率いてきた馮と張は、徐さんとは以前から知り合いで同業者でもあった。二人は同じ上海市で焼き鳥店を経営していて、徐さんに対し、「もし近くで店を開いたら報復すると」と警告していたのだ。

 徐さんの嫌な予感は、間もなく的中する。案の定、グループは店に入ったまま、何も注文しないまま、ただ居座り続けたのである。すぐに迷惑行為だと判断した徐さんは警察に通報。するとその時点でやっとグループは、数本の羊肉の串をオーダーしたという。その数は5人でたった1本の串。

 この行為は嫌がらせと認定され、主犯格の二人には騒動挑発罪で9か月、その他の13人にはそれぞれ6ヵ月から7か月の懲役刑が言い渡されたという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

復興状況を視察されるため、石川県をご訪問(2025年5月18日、撮影/JMPA)
《初の被災地ご訪問》天皇皇后両陛下を見て育った愛子さまが受け継がれた「被災地に心を寄せ続ける」  上皇ご夫妻から続く“膝をつきながら励ます姿”
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
武蔵野陵を参拝された佳子さま(2025年5月、東京・八王子市。撮影/JMPA)
《ブラジルご訪問を前に》佳子さまが武蔵野陵をグレードレスでご参拝 「旅立ち」や「節目」に寄り添ってきた一着をお召しに 
NEWSポストセブン
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
オンラインカジノの件で書類送検されたオコエ瑠偉(左/時事通信フォト)と増田大輝
《巨人オンラインカジノ問題》オコエ瑠偉は二軍転落で増田大輝は一軍帯同…巨人OB広岡達朗氏は憤り「厳しい処分にしてもらいたかった。チーム事情など関係ない」
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン