ライフ

94才料理研究家が「これだけは遺しておきたい」いりこご飯

ばぁばお手製の「いりこご飯」(撮影/鍋島徳恭)

 NHK Eテレ『きょうの料理』への出演でもおなじみの“ばぁば”こと料理研究家・鈴木登紀子さん(94才)が、「これだけは遺しておきたい」という料理に関するテクニックとレシピを紹介します。今回が「いりこご飯」です。

 * * *
 今年は夏が長かったせいで、大根はじめ秋冬の根菜がなかなかおいしくならなくて困ったものです。

 ばぁばのお料理教室では、毎年この時期、お献立に炊き込みご飯を加えているのですが、今年の神無月(10月)には、里いもやごぼうなどを炊き込んだ「吹きよせご飯」を作りました。炊いている間におだしがしみて、里いものほくほくとした食感がご飯とよく合うのです。

 さらには、ここにいりこを入れますと、味わいが一段とよくなります。年を取りますと骨もくたびれてきますからね、転ばぬ先のいりこご飯でカルシウム強化です(笑い)。

 炊き込みご飯で肝要なのは、具材をひと口大に切り揃えること。大きなお口を開けなくても、ご飯とすべての具材が渾然一体となって口に入るのが望ましいのです。

 ぬめりのある里いもは、前の晩にたわしでこすって汚れを落とし、一晩台所で寝かせると、皮が乾いてむきやすくなります。天地を落として、包丁で皮をお尻の方から上に、6回に分けて亀甲にむき上げます。ごぼうもきんぴらにする時よりも細かく切れ目を入れ、小さめのささがきにします。

 今回は、具材の残りを利用して、にんじんでもみじ、ごぼうで松葉、薄焼き卵で銀杏を型抜きして、紅葉の野山に見立てました。

「型抜きなんて、子供のお弁当用のものしかありません」というかたも多いでしょうが、せっかくのごちそうですから、おめかしして食卓に並べたい。わざわざ薄焼き卵を作る時間がないかしら? でも、そのひと手間が“心”なのです。

 時間はね、見つけるものではないの。つくるものなの。家族の笑顔を思い浮かべながら、ほんのひと手間、料理に遊び心を添えてくださいませ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン