ライフ

漫画家の「取材」は何をしているのか 拘置所取材に同行した

東京拘置所を取材で訪れた漫画家の取った行動は?(写真/時事通信フォト)

 漫画雑誌を買ってお目当ての作品を読もうとすると「あれ、今週、ない?」──下のほうをよく見てみると「作者取材のため休載します」と小さな字で書いてあることがある。漫画家の「取材」とは、いったい何をしているのか。ある漫画家の「拘置所取材」に同行した経験があるジャーナリストの高橋ユキ氏が、その一端をリポートする。

 * * *
 登場人物のキャラクターを設定し、舞台を決め、ストーリーを組み立て、コンテにそれを起こし、ペン入れをする……門外漢が想像する“漫画家の仕事”はおおよそ、こんなイメージだろう。そのストーリーを組み立てるまでに、漫画家が行うのが「取材」だ。

 ビッグコミックスペリオールに連載中の『夏目アラタの結婚』作者の乃木坂太郎氏は、担当編集者とともに、長い期間を取材に費やしたという。本作では、児童相談所に勤務する主人公・夏目アラタと、東京拘置所に勾留されている女性死刑囚・品川ピエロこと品川真珠との獄中結婚が描かれる。物語の序盤の多くは、東京拘置所の面会室でストーリーが進展していく。重要な場所だ。刑事裁判の傍聴や拘置所での被告人との面会取材を主に行う筆者のもとに、乃木坂氏の担当編集・M氏から連絡があったのは、連載開始から8か月も遡る、昨年8月のことだった。拘置所を取材したいというのである。

 青年漫画における取材の重要性について、M氏はこう教えてくれた。

「青年誌はファンタジーじゃない作品が多いので、情報が大事になってきます。ただ作家さんによって色々なタイプがあり、徹底的に取材される方と、あえてしない……というか、しすぎると逆に窮屈になってしまうタイプの方もいらっしゃいます。詳しく知ってしまうことで、これもできない、あれもできない、となる方も。そこは加減なんですね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン