NFL中継の画面より
特に大きな変化は、単に判定するだけでなく、その結果をリアルタイムに中継に反映できるようになったことだ。認識した映像からCGを即座に生成し、その映像を中継に差し込むことができるようになったので、スポーツを見ている人々にとっては判定がよりわかりやすくなり、中継がエキサイティングになる、という効果がある。
ソニーはスポーツ中継用放送設備のトップメーカーでもあり、中継と判定が連携することは大きなビジネスチャンスだった。だから、2011年にホークアイを買収し、傘下に収めたのだ。以来ソニーとホークアイは、密接な関係を保ったままビジネスを展開している。
◆中継から「安全性」まで、アメリカンフットボールにコンピュータを活かす
画像認識などをスポーツに活かしている企業は他にもある。
通販でお馴染みのアマゾンの関連会社で、インターネットインフラ事業を手がける「アマゾンウェブサービス(AWS)」は、スポーツ関連団体・企業に、AIを使った画像処理や認識などの技術を積極的に提供している。一般にはなじみがないものの、AWSはネットインフラ企業としてトップクラスのシェアを持ち、多くの企業を支えている。それがネット企業だけでなく、スポーツビジネスにも広がっているわけだ。
例えばアメリカンフットボールの「NFL」は、テレビ中継の画像判定にAWSの画像処理AIとデータ処理能力を活用している。ホークアイでも行っていた「線からはみ出たかどうか」といった判定の他、「投げるパスが通るかどうか」といった予測表示にも使われている。こうした情報を中継にうまく重ねて表示することで、アメリカンフットボールをわかりやすく伝えようとしているのだ。