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2019.12.23 07:00  週刊ポスト

森永卓郎氏 「格差社会の今こそマルクス経済学の出番」

経済アナリストの森永卓郎氏

 年末年始はゆっくり腰を据えて本を読む絶好の機会。2020年は果たしてどんな年になるのか? 経済アナリストの森永卓郎氏が選んだ2020年を読み解く1冊は、デヴィッド・ハーヴェイの『経済的理性の狂気』だ。

●『経済的理性の狂気』/デヴィッド・ハーヴェイ・著 大屋定晴・監訳/作品社/2800円+税

 本書は、マルクス経済学の枠組みを用いて現代経済の病巣を解明しようという試みだ。そう書くと、いきなり興味を失う人も多いだろう。何しろマルクス経済学は人気がない。日本の大学でもマルクス経済学を教えるところは、ほとんどなくなってしまった。

 ベルリンの壁が崩壊して、やはり社会主義はダメだということになったのと、そもそもマルクス経済学が難解であることが原因だ。私自身も学生時代に『資本論』を数回読んだが、半分も理解できなかった。ただ、グローバル資本が世界で猛威を振るい、格差が極限まで拡大した今こそ、マルクス経済学の出番なのだ。

 マルクスは、資本は「運動する価値」だと言った。資本家は、工場の機械や労働力を買って製品を作る。その製品に使用価値があると、製品が売れて、資本家のもとに利潤を加えた価値が戻ってくる。しかし、資本はそこで運動を止めない。さらなる価値を求めて増殖を続ける。それが資本の本質だというのだ。

 これを私なりの言葉でいうと、富裕層は孫の代まで遊べる数百億円を手にしても、もっと増やそうとする。彼らはお金中毒だからだ。ところが普通のビジネスを続けていても、順調な増殖ができないので、資本は暴走を始め、バブルを引き起こす。バブル崩壊から経済を立て直すためには莫大な投資が必要になり、その投資は大きな環境破壊をもたらす。

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