ライフ

森永卓郎氏 「格差社会の今こそマルクス経済学の出番」

経済アナリストの森永卓郎氏

 年末年始はゆっくり腰を据えて本を読む絶好の機会。2020年は果たしてどんな年になるのか? 経済アナリストの森永卓郎氏が選んだ2020年を読み解く1冊は、デヴィッド・ハーヴェイの『経済的理性の狂気』だ。

●『経済的理性の狂気』/デヴィッド・ハーヴェイ・著 大屋定晴・監訳/作品社/2800円+税

 本書は、マルクス経済学の枠組みを用いて現代経済の病巣を解明しようという試みだ。そう書くと、いきなり興味を失う人も多いだろう。何しろマルクス経済学は人気がない。日本の大学でもマルクス経済学を教えるところは、ほとんどなくなってしまった。

 ベルリンの壁が崩壊して、やはり社会主義はダメだということになったのと、そもそもマルクス経済学が難解であることが原因だ。私自身も学生時代に『資本論』を数回読んだが、半分も理解できなかった。ただ、グローバル資本が世界で猛威を振るい、格差が極限まで拡大した今こそ、マルクス経済学の出番なのだ。

 マルクスは、資本は「運動する価値」だと言った。資本家は、工場の機械や労働力を買って製品を作る。その製品に使用価値があると、製品が売れて、資本家のもとに利潤を加えた価値が戻ってくる。しかし、資本はそこで運動を止めない。さらなる価値を求めて増殖を続ける。それが資本の本質だというのだ。

 これを私なりの言葉でいうと、富裕層は孫の代まで遊べる数百億円を手にしても、もっと増やそうとする。彼らはお金中毒だからだ。ところが普通のビジネスを続けていても、順調な増殖ができないので、資本は暴走を始め、バブルを引き起こす。バブル崩壊から経済を立て直すためには莫大な投資が必要になり、その投資は大きな環境破壊をもたらす。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
女性政治家のへアメイクをヘアメイクアーティストの小椋ケンイチさんが分析(時事通信フォト)
「タレント経験者の議員さんは引き算がお上手だけど…」高市首相、ラブホ通いの小川・前橋市長、失職した田久保・元伊東市長…女性政治家のへアメイクをおぐねぇーが辛口分析
女性セブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン