自動運転技術を前面に打ち出した日産の改良型「スカイライン」だが…(時事通信フォト)
●スカイライン(日産)
いつになったらモデルチェンジするんだ? と言いたくなるような古いモデルだらけになってしまった日産。日本デビューが2014年の6年目という上級セダン「スカイライン」は、その日産のラインナップのなかでは致命的に古いというわけではないのだが、マーケットでの存在感はほとんどないに等しい。
そんなスカイラインが今年7月に改良を受けた。日産の運転支援システム「プロパイロット」の最先端版であるプロパイロット2.0を搭載し、さらに最高出力405psという強力なパワーユニットを積んだ400Rというグレードを新設した。
テコ入れの効果はというと、9月に1066台と、久しぶりに普通車のベスト50(48位)に顔を出した。これでも2018年の販売の半年分に相当するのだから健闘したと言えるが、10月以降は再び圏外に沈んでいる。
何とも残念な状況に陥っているスカイラインだが、動的な質感は大変に良い。路面の不整をがっしりと受け止めながら滑らかにいなす乗り味やステアリングを操作した時のクルマのナチュラルでつながりの良い動きなど、いろいろな部分はれっきとしたプレミアムセグメント。日産の技術陣の良心と懸命な努力が如実に伝わってくる。
にもかかわらず売れないのは、何はともあれ中心価格帯500万円台という値付けが、スカイラインの旧来のターゲットユーザーの懐具合と著しく乖離していることだろう。高所得層の顧客を新規に開拓できなければ、スカイラインの良さは広く知られることなく終わってしまうであろう。
内外装のデザインや質感が500万円級に相応しいものだったら、その道があったであろうが……いや、諦めるのは早い。所詮苦難の道なのだから、500万円の顧客層に食い込むためのチャレンジを勇気を持って続けるべきだ。