パーソナル感溢れるマツダ「CX-3」だが…
●CX-3(マツダ)
デザイン改革やエンジン刷新など、世界の潮流に対して逆張りをするかのような古典的手法によるブランド改革を進めるマツダ。ラインナップはなかなか華々しいものになってきたが、そのなかでポツンと取り残されたような存在になってしまっているのが、ミニSUVの「CX-3」である。
2015年のデビュー当初から販売は苦戦。投入時の販売目標3000台/月をアベレージで達成できた年は1年もなく、今年度に入ってからも悪い月では200台強にまで台数を落とす有り様だ。
が、このCX-3、そんなに魅力のないクルマなのか!? いや、乗ってみるとこれがなかなか悪くない。
「スカイアクティブテクノロジー」と銘打たれたマツダの新世代モデルの中ではロングランにちょっと不向き、室内も荷室も狭いといったネガティブ要素は確かにある。しかし、それを補って余りあるのは、クーペSUVと言うべきパーソナル感溢れるキャラクター。はるか昔、昭和時代に若者を魅了したホンダ「プレリュード」や日産「シルビア」のような、スペシャリティカー的雰囲気を持っているのだ。
日本では売れなかったが、このキャラクターは欧州で受け、低迷する同社の欧州販売の救世主となっていた。Cセグメントコンパクト「マツダ3」が出た今でも、モデル別の販売トップである。
マツダはここ2年ほど新商品ラッシュだったが、CX-3については改良を重ねても売れなかったということで諦めたのか、ほとんど売り込みをしていない。が、マツダがブランド価値を上げたいと本気で思っているのなら、不人気車ほど大事にすべきであろう。どんなクルマでもマツダの思想に共感を覚えてもらい、しっかりと売り抜くことができてこそブランド。難しいことから逃げてはいけない。