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2019.12.31 16:00  NEWSポストセブン

2019年の食を総括 タピオカ、オレンジワイン、コメ復権

タピオカ店には行列が絶えなかった

 美味いものを食う、それ以上に楽しいことはそうない。今年はどんな1年だっただろうか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が2019年を総括する。

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 2019年も食業界でさまざまなブームが起きたが、元号が令和となった今年の大賞はなんと言ってもタピオカに尽きる。「タピる」が流行語大賞トップ10に選ばれ、飲んだ後の空きカップのゴミ問題などを含め、1990年代の第一次、2000年代の第二次とは比較にならないほど盛り上がった。若者が行き交う町には、続々とタピオカミルクティーの店舗が出店し、狭小物件でも行列ができ、社会現象にまでなった。

 過去二回のブームと違ったのは、インスタグラムなどSNSなどでの個人発信が大きなうねりを生んだことで、関連用語が爆発的に増えたことだった。

 前出の「タピる」(タピオカを食べる)のほか、「タピ活」(タピオカに触れる活動)などの言葉も一般的に遣われた。さらに発祥店によるSNSへの写真投稿催事「タピオカチャレンジ」が、ユーザーによって独り歩き。一部ではタピオカミルクティーを胸に乗せて写真を撮影し、「#タピオカチャレンジ」というハッシュタグでSNS展開するユーザーも現れた。流行を個人個人がカスタマイズして、サブカルチャー文脈に乗せて楽しむしなやかさも印象的だった。

 局所的に使われる用語も増え、筆者が耳にした範囲では「タピられる」という言葉を「行列に割り込まれる」という意味で使う大学生もいた。極大化したブームは、ビジネス面、社会問題、そして若者文化まで多様な影響を与えながら、肌寒くなるとともに落ち着きを見せている。来年、暖かくなる頃に、果たしてどれだけの行列が復活するのか。無数に増殖したタピオカ店はブームの先に到達できるか、真価が問われるのは2020年である。

 一方、大人世代にとって一大ブームとなった飲料と言えば、「オレンジワイン」。「オレンジ」と言っても柑橘類を原料としているわけではない。もともとは一大産地ジョージア(グルジア)で「アンバーワイン」と言われていたワインを指す。

 白ワインに使われるような白ブドウ品種を使いながら、赤ワインのように果皮や種とともに発酵させたワインで、白の華やかさのなかに赤にも通じる渋味や苦味がニュアンスとして効いている。添加物の少ないワインが多かったこともあり、ナチュラルワインの流行とともに追い風に乗った。一般的な赤ワインや白ワインが苦手としてきた香辛料を使った料理との相性もよく、今年一年で扱う飲食店も一気に増えた。白、赤、ロゼという作りの体系で考えると、見落とされていた種類であり、こちらはブームでは終わらずカテゴリーとして確立されていくはずだ。

「復権」という側面から見ると、この数年「糖質制限」などの逆風にさらされてきたコメにも光が当たりつつある。近年、地球温暖化に伴い、各地で育てられてきた品種に高温障害が多発した。各地の農業試験場が新品種の開発に乗り出した結果、この数年でコメの新品種が一気に増加。甘みと粘りに特徴のあるコシヒカリの逆を行くような「ハリ」や「粒立ち」といった特徴のあるコメがデビューしたことで、一気にコメの多様化が進んだ。

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