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ニトリがアパレルに本格参入 第2のワークマンになれるのか

ニトリホールディングスの札幌本社(時事通信フォト)

ニトリホールディングスの札幌本社(時事通信フォト)

 喫緊の課題となるのは、ブランドの構築だ。『商業界』オンライン(2020年1月9日付)はこう報じた。

〈コンセプトは「私のための大人服」。年齢を重ねながら若々しさや感性を失わない大人の女性をターゲットに、毎日着たいと思うファッションをカラーコーディネ-トで提案。「いつまでも自然体でいたい。そんな思いに寄り添う新ブランド」を目指す。

「ユニクロ」よりもリラックスしていて「ドゥクラッセ」よりもリーズナブル。米国アパレルで言えば「Jジル」や「タルボット」のイメージに近い〉

 ドゥクラッセは大人世代のファッション通販。Jジルは成熟した女性のためのファッション通販サイト。タルボットは米小売りチェーンで、かつて日本法人をイオンが子会社にしたが、すぐに手を引いた。

 ニトリは大手アパレルなどの出身者を採用。現在はOEM(生産委託)を活用した商品が多いが、SPA(製造小売業)を追求する考えだ。

◆お家芸のSPAを活用する

 似鳥氏がアパレルへの本格進出を決断したのは、お家芸ともいえるSPAを活用できるからにほかならない。SPAとは、自ら製品を企画して、委託生産させ、チェーン展開した自前の店で、それを大量に売り切る小売業のことだ。ユニクロのファーストリテイリングがSPAの代表的企業である。ニトリは、いわばSPAの家具版である。

 これまで、アパレル業界は百貨店や専門店がメーカーから仕入れた商品を販売してきた。SPAは中抜きできるから利益が大きいが、SPAだからといってすべてうまくいくわけではない。かなりの数量を売り切って、初めて利益が出る「ハイリスク・ハイリターン」なビジネスモデルなのだ。

 ユニクロの成功でSPAを取り入れたアパレル会社は多いが、売れ残れば、不良在庫となり、損失に直結する。ユニクロとニトリは、売り切る力を持っていたから成功したに過ぎない。

 ニトリの売り切る力の源泉はなにか。商品構成は、家具よりもホームファニシング(家庭用品)と呼ばれる商品が多い。毛布、カーテン、布団カバーなどの衣料系ホームファニシングは、家具よりも購買頻度が高い。

 また、トレンドに左右されないベーシックな売れ筋商品を効率良く回転させている。これがニトリの売る力の本質なのだ。ニトリ本体で、ベーシックな肌着や部屋着を開発してきた経験を、アパレル進出でも生かせるとみている。特に、物流まで自社で構築してきたことは、通販サイトとの連携が、より重要になってきた今こそ大きな戦力となる。

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