「韓国と米国の間には犯罪人引き渡し条約があるため、韓国人や米国人は自国への逃亡は考えない。だがこの条約がない国なら、保釈された時から逃亡は頭にあったはずだ」
ゴーン被告は今回の会見やインタビューで、起訴されている特別背任事件の審理に今年9月から入ると考えていたのに、その開始が2021年以降になると裁判官に告げられ逃亡を決めたと話す。つまり、逃亡の2文字はずっと頭にあったのだ。
レバノンに逃れたゴーン被告が日本に引き渡されることはないだろう。しかし、引き渡さなくとも、逃亡してきた容疑者を自国の法律で裁く国もある。
「例えば中国です。日本で殺人を犯した中国人は、中国には逃げ帰らない。自分から日本の警察に自首してきますよ」
中国では代理処罰という制度により、日本で罪を犯した中国人が自国に逃亡してくれば、中国の刑法で処罰される。殺人犯の場合、日本なら懲役刑だったとしても中国なら死刑が言い渡されるからだ。
「経済事犯の容疑者の場合は、すぐに中国に逃げ帰ります」
中国では詐欺や横領などの事件は、ほとんど捜査されずに終わってしまうという。
「そうは言っても、習金平政権になってから経済事犯に対しても厳しくなってきました。ゴーンほどの経済犯がもし逃亡してきたら調べるでしょう。でも、ゴーンほどの金持ちなら、中国だったら金でどうにでもできますけどね」
外国人犯罪者は、どんな形でも逃亡を企てる可能性がある。決して彼らを、日本人と同じ感覚で捉えてはいけなかったのだ。