麻生氏は野心を封印(写真/AFP=時事)

 盟友の麻生太郎・副総理が、文藝春秋に〈残り二年を切った総裁任期で、憲法改正案を発議し、国民投票に持ち込むのは政治日程上、非常に厳しい。安倍総理が本気で憲法改正をやるなら、もう一期、つまり総裁四選も辞さない覚悟が求められる〉(文藝春秋2020年1月号)と安倍4選論をぶち上げた背景には、後継者候補が小粒だという危機感がある。

 だが、総裁「4選」を可能にするには自民党規約の改正が必要で、ゴリ押しすれば党内の反対論が高まり、権力闘争の火に油を注ぐことになりかねない。そこで安倍-麻生陣営内では、安倍首相の総裁任期を特例で「1年延長」するという秘策が練られている。

「東京五輪の後、安倍首相が『国会で憲法改正の発議をすべきか国民の意見を聞く』と解散・総選挙に踏み切る。勝利すれば、総裁任期を2022年まで1年だけ延長し、その間に国会での憲法改正発議と国民投票を実施し、総理は改憲を花道に退陣する」(安倍側近)──という計画だ。

「総裁任期の1年延長」はルール上はイレギュラーだが、かつて中曽根康弘・首相がやったことだ。

 中曽根氏は総裁任期満了の3か月前に突然衆院を解散、衆参ダブル選挙に大勝利し、その功績をテコに党内の反対を押し切って総裁任期の1年延長を認めさせた。しかも、1年後に権力を維持したまま退陣することで、後継者を決める総裁選では「中曽根裁定」と呼ばれる後継指名にも成功した。ちなみにこの時、最も総理の座に近いと見られながらも後継指名されずに、総理になり損なったのが安倍首相の父・晋太郎氏だった。

 安倍首相がこの「中曽根方式」を踏襲すれば、権力維持という面では4選より効果的だ。

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