新型フィットの売れ行きに期待を寄せるホンダの八郷隆弘社長(時事通信フォト)

新型フィットの売れ行きに期待を寄せるホンダの八郷隆弘社長(時事通信フォト)

◆2台のキャラクターの違い

 同じクラスのコンパクトカーとはいえ、トヨタとホンダの2台のキャラクターは、相当に異なります。心地よく、ユーザーのライフスタイルに寄り添うのがホンダの新型「フィット」。一方で新型「ヤリス」はとにかくスポーティです。

 使い勝手や広さといった実用性を重視して家族4人で使うというユーザーであれば、新型「フィット」がおすすめになります。独り身や子供のいない夫婦でスポーティな走りが好きであれば、パーソナル色の強い新型「ヤリス」がいいでしょう。比べてみれば、ソフトな「フィット」にハードな「ヤリス」といった具合です。

 発売後の人気を予想すると、2台のキャラクターは相当に異なっていますから、同じ客層を奪い合うというよりも、棲み分けのようになるのではないでしょうか。ちなみに、欧州市場ではストレートにスポーティを謳うクルマの人気が高いので、欧州市場での新型「ヤリス」の販売はかなり期待の持てるものになりそうです。

 しかし、“若者のクルマ離れ”が叫ばれる現在の日本市場では、若い世代に“スポーティ”を訴えても、どれだけ応えてくれるのかは微妙なところ。そのためか、新型「ヤリス」の販売目標は7800台/月と、意外に控えめな数字になっています。新型「フィット」の目標はまだ明確になっていませんが、もう少し上のはず。そうなれば新車販売ランキング的には、新型「フィット」のほうが勝ることになるでしょう。

 ただし、不確定要素もあります。それがトヨタの「アクア」という存在です。「アクア」は2011年12月のデビューから現在まで、常に販売ランキングの上位を守り続けてきた大ヒットモデルです。旧「ヴィッツ」や旧「フィット」よりも売れています。しかし、その「アクア」も、デビューから9年たって、さすがに魅力は年々低下しています。

 しかも、「アクア」の一番の売りである燃費性能でいえば新型「ヤリス」が上。もしも、これまで燃費重視で「アクア」を選んできたユーザー層を新型「ヤリス」が吸収することができれば、販売成績は大きく伸びるはずです。その結果、新型「ヤリス」が、新型「フィット」を上回るかもしれません。

 同時期にデビューする新型「ヤリス」と新型「フィット」というライバル同士の戦い。その行方はどうなるのか、最初の結果発表となる3月を待ちましょう。

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