国際情報

韓国「文在寅vs検察」攻防激化 反逆の検事総長は孤立状態に

年頭記者会見では、徴用工問題や東京五輪にも言及した(EPA=時事)

「検察組織文化改善の先頭に立てば、さらなる信頼を受けると思う」、「厳正な捜査、権力にも屈しない捜査、こういう側面からはすでに国民から信頼を受けている」──1月14日、韓国・文在寅大統領の年頭記者会見。政権の最重要課題として掲げる「検察改革」に関連し、文大統領は尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長を評してそう述べた。

 尹検事総長といえば、文大統領の信頼が厚い曹国(チョ・グク)前法務部長官(法相)の妻や親族らの不正疑惑捜査で陣頭指揮を執った人物。それ以外にも、「釜山市前副市長監察もみ消し事件」や「蔚山市長選挙不正介入疑惑事件」などを通じて、文政権に対決姿勢を示してきた(*注)。

【*注/「釜山市前副市長監察もみ消し事件」は、収賄の罪で起訴された釜山市前副市長に対する監査を、大統領府が2017年に途中で打ち切ったとされる事件。「蔚山市長選挙不正介入疑惑事件」は、2018年6月の蔚山市長選で、大統領府が警察に野党の候補を捜査するよう指示し、逮捕・勾留させて落選させた疑惑がもたれている事件】

 その尹検事総長を文大統領は高く評価し、「検察改革の先頭に立ってほしい」と期待を表明したのである。この文大統領の発言を、元朝日新聞ソウル特派員で韓国問題ジャーナリストの前川惠司氏はこう解釈する。

「これは検察に対する“勝利宣言”です。“やれるものならやってみろ”といったところでしょうか」

 文大統領が目指す「検察改革」とは、検察の腐敗を一掃し、同時に、強大すぎる検察の権限を縮小することを目指した改革とされている。

 韓国で犯罪捜査の主体となるのは検察で、警察は検察の指示に従い補助をするに過ぎない。捜査と起訴の権限を一手に握るため、検察の権力は絶大だ。韓国の歴代大統領の多くが、退任後に逮捕・収監されたり、自殺に追い込まれたりするのは、検察権力の強大さが影響しているとされる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
兄・輝星と仕草も容貌も瓜二つの吉田大輝
金足農業・吉田大輝「甲子園で優勝して、兄・輝星を超えたい」決意 顔も仕草も瓜二つだが、「まるで違う」と父が明かす2人の性格
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「城島さん、松岡さんと協力関係は続けていきたいと思います」福島県庁「TOKIO課」担当者が明かした“現状”と届いたエール
NEWSポストセブン
映画『国宝』で梨園の妻を演じた寺島しのぶ(52)
《無言の再投稿》寺島しのぶ、SNSで2回シェアした「画像」に込められた歌舞伎役者である息子・尾上眞秀への“覚悟”
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビー服は男の子のものでは?》眞子さん、夫・小室圭さんと貫く“極秘育児”  母・佳代さんの「ラブコール」も届かず…帰国が実現しない可能性も
NEWSポストセブン
吉沢亮演じる喜久雄と横浜流星演じる俊介が剣幕な表情で向かい合うシーンも…(インスタグラムより)
“憑依型俳優”吉沢亮主演の映画『国宝』が大ヒット、噂される新たな「オファー」とは《乗り越えた泥酔事件》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“半日で1000人以上と関係を持った”美女インフルエンサー(26)がイギリスの公共放送で番組出演「口をすぼめて、吸う」過激ビジュアル
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
NEWSポストセブン