フリマアプリで出品されていたマスク。転売目的の出品とは限らないが…
すでに日本国内やアメリカでも患者が確認され、新型肺炎の感染拡大が世界に暗い影を落としている。治療法も確立していない未知のウイルスへの不安から、予めマスクを多めに買っておこうという心理が働くのは自然なことかもしれない。だが、それを買い占めてネットで高額転売する行為は、そうした不安につけ込んでいるとは言えないか。
マスクの買い占めや高額転売が増えていることについて、コラムニストの石原壮一郎氏は「マスクを買えなかった人のための善意の転売なら救いはあるものの、値段をちょっと釣り上げて儲けようというのは、大人としてあさましい」と指摘する。
「世の中で注目される事象、一種のお祭り騒ぎがあると参加したくなる人が相当数います。50年近く前のトイレットペーパー騒動や、昨年の台風19号接近時の食品買い占めなどです。じつは、そこまで買い占める必要はないのだけれど、落ち着きや冷静さを失ってしまう。
新型コロナウイルスをめぐっては、情報が入り乱れるネットで『新型肺炎の本当の死者数は1000倍いる』など出所不確かでより刺激的な情報を信じ込み、シェアやリツイートで拡散する行為も、マスクの買い占めと五十歩百歩だと思います。信じ込むのも大人にはあるまじき行為ですが、“自分は良いことをしている”と思って拡散すると、その先に落とし穴が待っている。そっちのウイルスの蔓延のほうが私は気になります。うがいと手洗いをして落ち着き、大人としての自覚を取り戻して欲しいですね」(石原氏)
転売されているとみられるマスクは、強気な値付けをしているものは売買が成立していないケースも多い。マスクメーカーの供給が追いつけば、彼らのもとには大量の“在庫”が残る可能性もあるだろう。