「MGC」で、ナイキの厚底シューズを履いて力走する中村匠吾(右端)ら(2019年9月。東京・銀座。写真/共同通信社)

 ただ、日本のメーカーも指をくわえて見ていたわけではない。アシックスやミズノの五輪に向けた“新製品”の存在が明らかになってきた。

「すでに試作品が一部の選手に渡っています。ミズノのシューズは真っ白でロゴも見えないまさに試作品といった見た目で、靴底のクッション部分に独自開発の硬いプレートを挟んだ構造。今年の箱根駅伝では10区で創価大の嶋津雄大選手が着用し、区間新をマークしました」(メーカー関係者)

 アシックスは市販品を改良し、靴底にカーボンプレートを内蔵した試作品が存在し、元旦のニューイヤー駅伝で一部の選手に提供された。ナイキの「ヴェイパーフライ」ほどではないが、やはり厚底に見えるシューズだ。アシックス広報室はこう説明する。

「正式に発表しているものではないので、まだ商品名もありません。ポイントはソール(靴底)の厚さよりも形状にあります。横から見ると爪先部分がせりあがっている形になっていて、加重していくと転がるようなイメージで足を前に運べる。エネルギーロスを最小限にできます。

 今春に発表予定で、五輪イヤーに向けて長い期間仕込んできました。隠しているつもりはないのですが、最終テストをしている段階です」

 こうした新シューズの存在も、選手にとっては悩ましいだろう。他のメーカーのシューズからナイキに変えたトップ選手も数多くいるが、ここにきてのナイキ規制問題の浮上と他メーカーの新製品の登場で、どういった決断をするのか、注目の的となる。

※週刊ポスト2020年2月7日号

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