近い将来、必ず起きるといわれる「首都直下地震」。人類が未だ経験していない、大都市への地震直撃に向けて、しっかりと備えておく必要がある。あなたの家、親族の家、子供の学校、職場は、安全な地域にあるのか、それとも、特別な備えが必要な場所なのか──。そこで、東京23区の中でも、最も危ないといわれる葛飾区、足立区、荒川区の“下町3区”の詳細な「ハザードマップ」を作成した。
※参考/東京都建設局「東京の液状化予測図 平成24年度改訂版」、東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」、国土交通省国土地理院デジタル標高地形図、『首都大地震 揺れやすさマップ』(旬報社)
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行政の誘導や消防車の出動はほぼ不可能と予測される震災直後は、冷静に避難場所へ移動することが求められる。関東学院大学工学総合研究所の若松加寿江さんはこう話す。
「関東大震災(1923年)の時は、被服廠跡に避難した3万8000人が焼死しました。これは、まだ情報の入手が困難だった時代に、“あそこは安全”だと人々が思い込んだことで悲劇につながりました」
現代は、行政が各区の避難場所となるオープンスペースを公表している。東京大学生産技術研究所教授の加藤孝明さんは、こうアドバイスする。
「延焼速度は歩くスピードより遅いので、まず落ち着いて。出火元が1か所なら、風上に向かって逃げる。しかし、住宅地など同時多発で火災が起こる場所では、必ずしもそうではない。日頃から抜け道を把握しておくなど、街の構造を理解しておけば、いざという時に役立つかもしれません」
積極的に街を散策し、近隣住人と情報交換をしておこう。
【ハザードマップのポイント1】液状化被害を地名で見抜く
地名には、その土地の特徴や目印が含まれている。「水」に関連するキーワードがつく土地は、地震による揺れで液状化を起こしやすい。足立区には、「谷」「袋」「沼」「島」など水害被害に関連する地名の多さが目立つ。
【ハザードマップのポイント2】河川の合流場所だった「花畑」地区