ライフ

銭湯が変化中、魅力的な設備充実で高齢者見守る地域の拠点に

東京都大田区のはすぬま温泉。大正ロマンをイメージした内装と源泉かけ流しの炭酸温泉が自慢。全国にも天然温泉を引く銭湯は多数。入浴料金は350円(長崎・宮崎)~470円(東京・神奈川)。

 時代の流れで街の銭湯の数は減りつつある。が、魅力的な設備を整え、高齢者を見守る地域の拠点として新たな役割も担い始めた。

 東京都市大学人間科学部教授で医学博士・温泉療法専門医の早坂信哉さんもすすめる銭湯の今を、全国浴場組合理事長で、東京都大田区の老舗銭湯「はすぬま温泉」の3代目店主・近藤和幸さんに聞いた。

「銭湯のよさはなんといっても大きな湯船。浴場には蒸気たっぷり。マイナスイオンが満ちていて、リラックスできます」と、近藤さん。

 サウナやジェットバス、薬湯など、起死回生をかけ、全国の銭湯が最新設備や特徴ある湯を競い合っているという。脱衣所はしっかり暖かく、ヒートショック対策も万全だ。

「何より人の目があるから、のぼせてもよろけても大丈夫。家庭の風呂より安心です」(早坂さん・以下同)

 男女脱衣所の真ん中におじさんが座る、昔ながらの番台があるのは全国でも2割ほど。今はフロント形式が主流だ。

「かぐや姫の『神田川』が流行った頃は、カップルが寒い外で待ち合わせたけれど、今は暖かいフロント前のラウンジで。高齢のご夫婦なども風呂上がりにアイスクリームを食べながら、テレビを見てゆっくり過ごしています(笑い)」

 銭湯は近所の顔見知りと自然に会えるのもいい。いつも見る顔が“今日は来てないね”と気にし合う。こんな特性を生かし、自治体と連携して独居や認知症の高齢者を見守る試みも始まっている。

「気軽に来ていただけるよう高齢者の定期的な無料・割引日を多くの自治体で実施しています。また東京都内のいくつかの区市町村では、銭湯経営者が認知症サポーター養成講座を受講し、浴場で困っている認知症の人やその家族を支援できるようにしています。

 銭湯はもともと地域の社交場でした。お湯に入って知り合いでもそうでなくても、おしゃべりをする。こういうことも自然な介護予防になると思う。最近はSNSなどを見て若い人も来てくれます。ストレスを抱えた彼らと人生の先輩の高齢者と、いい交流が生まれています」

 こんな日本的文化に興味を持つ外国人客も。オリンピックの夏に向けてますます利用者が増えそうだ。健康と新たな出会いを求め、近所の銭湯へぜひ!

※女性セブン2020年2月13日号

高齢者見守りの拠点になっている銭湯

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
このほど発表された新型ロマンスカーは前面展望を採用した車両デザイン
小田急が発表した新型は「白いロマンスカー」後継だというけれど…展望車復活は確定だが台車と「走る喫茶室」はどうなる?
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン