芸能

中村梅雀 役者家系に生まれた自分が一流を知った体験

中村梅雀は役者家系に生まれ育った

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、歌舞伎俳優であると同時にベーシスト、作曲家でもある中村梅雀が、役者家系に生まれ、一流というものを学んだことにより変われた体験などについて語った言葉をお届けする。

 * * *
 中村梅雀は祖父が歌舞伎役者で劇団前進座の創立者の一人でもある中村翫右衛門、父が中村梅之助という役者家系に生まれ、早くから芸事を習得していく。

「生まれた時にはもう、当たり前のようにそっち方向に進むことになっている雰囲気でしたね。お前の好きにしていいんだぞ、と言いつつ外堀は埋められ、線路が敷かれていました。

 我が家の方針で、僕は五歳から役者の基礎訓練をさせられています。中学の三年間は免除されていましたが、高校に入ったら、日本舞踊に長唄、義太夫、三味線、それから茶道も。ひたすら嫌でした。十代の時は、いかに稽古場に行かずにサボるかばかり考えていました。

 ただ、翫右衛門の伝手で日本舞踊は吾妻徳穂先生に習うことができたんですよね。先生の稽古事への姿勢に触れたり、内弟子でつきながら一日ずっと過ごすことでさまざまな世界の超一流に出会い、食べるものも一流を味わうことができました。そういうものも覚えていないと違いが分かりません。

 二十歳を過ぎた頃、先生が稽古場のおさらい会をやったのですが、この時の長唄、三味線、鳴り物の音が全てすばらしかった。幼い頃から歌舞伎や前進座を観てきましたが、それまでに聞いてきた音と違うんです。

 これが一流だ、と思いました。その時に全身に何かがビッと入った感じがして、そこから変わりました。でも、あくまでそれは徳穂先生の弟子として。役者として性根が入ったのはずっと後、三十代になってからです」

 大学卒業後、一九八〇年に祖父と父のいる前進座に所属、役者として本格的に歩み始める。

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン