フレイル検診で聞かれる問診項目
医師の中には「フレイルに詳しくなっても、薬を処方して利益につながるわけでもないので、メリットがない」との意見もあるという。
厚労省が作成した問診項目を別掲したが、確かに漠然とした質問が多い印象だ。前出・鈴木教授によれば、身体的フレイルを調べるにはこの問診よりもわかりやすい方法があるという。
「自分のふくらはぎの一番太い部分を、両手の人差し指と親指で輪っかにして挟み、両手の指先がつくか否かで身体的フレイルを判定できます。両手の指先がつかなければ正常ですが、ついてしまう場合は筋肉量が減少している目安になります」
また、ふくろうクリニック等々力の山口潔院長によれば、「握力が男性で26kg未満、女性で18kg未満の場合や、歩く速度が毎秒1m以下になった場合にも身体的フレイルの可能性がある」という。
フレイルの可能性が疑われる場合に有効な対策も知っておきたい。
「もし筋肉量の減少が確認されたら、治療の基本は『栄養摂取』と『身体活動』です。栄養摂取はビタミンDの補給、高タンパク食が推奨されますが、管理栄養士の指導を受けるほうが望ましい。身体活動は無理をしないことが肝心で、自治体などが実施する教室でトレーナーの指示を受けて行なうか、エレベーターでなく階段を使うなど小さな積み重ねでも効果が得られます。
精神的フレイルは認知症専門医、精神科医の紹介を受けることも重要です。社会的フレイルは、自治体や老人ホームなどが主催する趣味の教室などへの参加で予防できる」(同前)
聞き慣れない言葉と侮っていると、健康寿命を縮めかねない。
※週刊ポスト2020年2月14日号