国内

新型コロナ、厚労省が最新検査法を導入しない呆れた理由

厳戒態勢でクルーズ船から搬送される感染者(時事通信フォト)

 世界的に拡大している新型コロナウイルス。日本国内での感染者は、横浜港に寄港しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客・乗員を含めて615人(2月18日現在)となった。

 今後もさらなる感染拡大が懸念されるが、この先は「買い占め」が発生するリスクがあるという。

 すでに香港では、新型コロナウイルスの影響でトイレットペーパーや米が不足するとの情報が駆け回り、人々がスーパーマーケットに殺到して買い占め騒動が勃発した。

 日本でも、近年は台風などの自然災害の際に、店頭から食料品や水などが次々と消えたことが記憶に新しい。都内在住の30代女性が指摘する。

「すでに実店舗だけでなく、ネットストアからも除菌シートや消毒殺菌のハンドソープの在庫がなくなっています。今後、家から出られないなら、お米やレトルト食品、カップラーメンなども品薄になるのでしょうか。娘が小さいので、今後おむつが品切れになったらと不安でなりません」

 さらなる社会騒乱を心配するのは、感染症に詳しい医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんだ。

「家にこもる前に生活必需品を買い占めようとして物資の争奪戦が始まり、小競り合いがあちこちで起こる可能性がある。自粛ムードや風評被害で経済が大被害を受け、貧しい人から行き場を失っていくのが最悪のパターンです」

 2009年に新型インフルエンザが流行した際は街に閑古鳥が鳴き、経済は大きな打撃を受けた。こうした悲劇を回避して、事態をできるだけ早く終息させるには、検査体制を速やかに拡充すべきだった。

 これまで1日1000件程度しか行えなかったPCR検査を、2月18日からは最大1日3000件超の検査体制を整えたと加藤厚労相が発表した。しかし、ここにも大きな問題が潜んでいる。

「スイスの製薬会社『ロシュ』が開発した遺伝子検査キットで、喉の粘膜をとればいいだけの簡単なものもすでに実用化されています。しかし、日本政府はなぜか頑なに導入していません。理由は、厚労省が検査方法を独自開発するために予算をつけ、公共事業にしたからです。最初からロシュの検査キットを使っていれば、クルーズ船の感染拡大をもう少し抑えられたかもしれません」(前出・上さん)

 ナビタスクリニック理事長の久住英二さんも、厚労省の“不手際”を指摘する。

「中国ではすでに、CT検査が有効という論文があがり、すぐに切り替えました。しかし、厚労省はそうした最新の検査法を導入していません。感染が流行った国が対応している方法や論文を見て対応すべきなのに、どういう検査が優れているかという最新情報を知らないんです。その結果、本当は陽性なのに陰性と判断される人が増えています。

 しかも、ワクチンに関しても、国内のワクチンメーカーは厚労省の天下り先なので、日本で作ろうとしている。なぜ海外のメーカーと協力体制をとらないのか。国民の健康を省みないため、あらゆる対応が後手に回っています」

 実際に新型コロナウイルスに感染するとどうなるのか。クルーズ船に乗船して、新型肺炎を発症した70代女性の義弟であるAさんが言う。

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト