とくに今回のような地方場所の場合、宿舎は寺や倉庫などが多く、空調設備が整っていないケースも少なくないため、体調管理はより難しくなる。東京開催の場所と違って朝稽古の見学者も多く、チャンコも力士たちと一緒に食べることになる。「そうしたなかで、親方、力士、見学者のなかに一人でも感染者がいたら……」(同前)といった心配の声があがるのは当然だろう。
「協会内では開催するなら7000人以上の来場者全員にマスクを配布して館内での着用を義務付ける案もある。15日間ですから計10万枚以上を用意するということです。そうなれば、土俵周りでは法被にマスク姿の東西会の維持員が並ぶという異様な光景が生まれます。さすがに力士、行事、呼出はマスクというわけにはいかないが、土俵下の審判員の親方衆までマスクをすることも検討されているという。その場合にしても、物言いがついて審判員が場内に説明する際は、マスクを取るのか、つけたままなのか。非常に難しいところです」(前出・協会関係者)
しかも、観客にマスクを配布したところで、隣や前後の観客と密着して座る「桝席」は飲食とセットなので、多くの人が飲み食いの際にマスクを外すことが考えられる。京都・大阪・奈良・和歌山でもすでに新型コロナウイルス感染者が出ている。「春場所は団体客が関西一円から観光バスでやってくるケースも多い。本当にこのまま開催していいのか」(前出・担当記者)という懸念が相次ぐ状況だ。相撲協会は、ギリギリの決断を迫られている。