新型コロナウイルスばかりに注目が集まるが、毎年のように流行する感冒やインフルエンザについても事情は同じだ。「あくまで私個人の印象ですが」と前置きし、武藤医師は次のように話す。
「外来の患者さんを診察していてとくに感じるのは、お年寄りに限らず今年のインフルエンザは発熱を伴わないケースが多いということ。そうした観点からも、『37.5℃以上の発熱』にとらわれるべきではないかもしれません」
体温はあくまで目安であり、予防のための手洗い・うがいなどの徹底や、老人ホームの入居者ら本人と周囲が、体調の変化に細かく気を配る必要がある。お役所仕事の「数字の線引き」だけが強調されると、さらなる感染拡大を招きかねない。