振り返れば、2010年を迎えたときも、同じような苦境の中にいた。内間に子どもができたことがわかった直前に、主な収入源となっていたテレビ番組のレギュラーを外されたのだ。
その逆境が力になった。今も7割方仕事は戻ったものの、いまだ復帰のかなわぬ『探偵!ナイトスクープ』をはじめテレビ出演は減少したままだ。この状況を変えるには、大きなチューンアップが必要だ。真栄田が続ける。
「M-1優勝のイメージを涙が出るくらい強くイメージできるようになったら、きっと、思った通りになる。死ぬ間際、2020年の自分にありがとうって言えるような年にしたいですね」
背負った十字架は小さくない。だが、それを克服したとき、スリムクラブは2010年のような、いや、2010年を超える超強力なホワイトエンジンを手にする。
●なかむら・けい/1973年千葉県生まれ。同志社大学法学部卒。著書に『甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実』『勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇』など。ナイツ・塙宣之の著書『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』の取材・執筆を担当。近著に『金足農業、燃ゆ』。
※週刊ポスト2020年3月13日号