スポーツ

バレーの試合で娘を激励した母が出禁処分、これでいいのか

子供の部活応援でもトラブル

子供の部活応援でもトラブル

 誰も傷つけない○○という言い方が人気だ。だが、そのために、過剰に何かを控えるように求めることが、正義であるかのように振る舞う人たちがいる。正義とはいつも相対的で危ういものなのだが、それを主張する人たちにその危惧は訴えてもなかなか届かない。子供のクラブ活動の応援で、子供のために親に沈黙するよう求めるのは妥当なのか、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 千葉県内にある小学校の校庭で、子供たちによるサッカーの練習試合が行われていた。小さな子供たちは、目の前に転がってきたボールを追うのが精一杯で、パスを要求したり、味方へ動きを指示するような「声」はなかなか聞こえない。とある少年のプレーにミスが出た。当然、コーチや監督の「怒声」、見に来ている父母からの激励が聞こえてくるのかと思いきや……。

「“今年は”基本的には黙って見ているだけです。そういう指導方針なので……」

 と言葉少なに語るのは、ミスを犯した少年が所属するチームのコーチ。父母もコーチ同様に黙って戦況を眺めているのみにみえたが、下唇を噛み締め、居ても立っても居られないという雰囲気の男性が、筆者にそっと打ち明ける。

「今ミスしたのは息子です。本当なら何やってんだ、とか、負けるなと言いたいです。でも“今年は”言えません。声を荒げると、子供たちに心理的な圧迫があると、一部の親が言い出したんです。もちろん、体罰や口汚く罵ることは反対です。しかし、何も言うなというのは、明らかに行き過ぎというしかない」

 子供たちの足音とボールを蹴る音だけが響くグラウンドを満足そうに眺めるのは、件の“提案”をしたと言う保護者数名のグループだ。中には、子供たちが試合中に「お前」と呼び合うのを禁止させるという“提案”をした母親もいて、従わなければすぐに「教育委員会に通報する」とか「懇意の議員に問題にしてもらう」と言い出すから、落ち着かないという。

 繰り返すが、体罰はいけない。筆者が子供の頃は、殴られる蹴られるは当たり前、罵られるくらいならまだいい方だった。そのおかげで成長できたという自負もある。しかし今では、体罰や罵りで圧迫されても成長できてプラスになる子もいれば、逆にマイナスになる子の方が実は多かったのではと振り返り、変えていこうという声のほうが大きい。ただ、そうした情勢をはき違えたというか、極端に捉えている父兄がいることも事実だ。これでは、親の満足だけが先行し、結局子供のこと、子供を指導する人々を逆に萎縮させている可能性もある。同じような例は他にも……。

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン