ライフ

老人の睡眠時間が短いのは異常ではない、慌てる必要なし

眠りの疑問に医師が答える

「なかなか寝つけない」「もっと眠りたいのに眠れない」「熟睡できない」といった不満を抱えている人は多いだろう。特に中高齢者に目立つのが、「朝早く目が覚めてしまい、睡眠時間が減少している」という悩みだ。

 この解決策を、1981年に日本で初めて睡眠障害の専門外来を開設した久留米大学医学部神経精神医学講座の教授で同大学学長を務める内村直尚医師が解説する。内村氏は約40年間にわたって睡眠研究に携わり、睡眠障害で悩む患者を診察してきた。

「そもそも睡眠時間について最も多い誤解が、“若い頃と同じように8時間寝ないといけない”なのです。加齢とともに、睡眠は短く、浅くなっていきます。もちろん必要な睡眠時間には個人差はありますが、平均的に8時間寝られるのは15歳ぐらいまでで、25歳で7時間、45歳で6.5時間、65歳で6時間とされます。60代以降は6時間眠れていれば、睡眠時間としては心配しなくていいでしょう」(内村氏)

 高齢になるにつれ、朝早く起きてしまうのはなぜなのか。

「加齢現象によって体温リズムが前進(前方に移動)するからです。人間は脳の視床下部の視交叉上核にある体内時計によって約24時間のリズムが刻まれており、夜7時頃に最高体温、朝5~6時頃に最低体温を迎えることがだいたい決まっています。最高体温から最も急激に体温が下がる夜11時頃が寝つきやすく、朝は最低体温から1時間経った頃が最も目覚めがよくなるようにできています。

 ところが加齢により、たとえば65歳を過ぎてくると最低体温が朝3~4時の間に前進してくるため、4時頃になったら目が覚めるようになります。高齢になると朝早く目覚めるのは異常でもなく、健康に歳を重ねているひとつの証と言えます」(同前)

※週刊ポスト2020年3月20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン