事故現場になった前橋市内の市道(時事通信フォト)
判決後、傍聴席から上がった怒号に、国井恒志裁判長は、「事案の真相を見誤ると同じような悲劇を繰り返すことになる。被告個人に事故の責任を課すことはできない。これは悲劇を繰り返さないための無罪判決です」と声を詰まらせながら異例の“説明”をした。
「車椅子で出廷した被告は補聴器をつけていても耳が遠いようで、判決には“無罪……わかりました”とだけ語った。その様子からも、2年前とはいえ、高齢者講習をよく通ったなという疑問の声もありました。裁判長が最後にわざわざ付け加えた発言は涙声で、予想される感情的な批判に、先回りして反論しているようにも聞こえました」(同前)
悲劇を繰り返さないための無罪──この発言が報じられると、ネット上では〈意味がわからない〉〈この判例のせいで悲劇が繰り返される〉など多くの批判が上がっている。
女子高生の遺族も「運転すべきでない状態の人が運転を思いとどまるきっかけになるような判決を期待しておりましたので、大変残念です」とコメントを発表した。
高齢ドライバーの事故が相次ぐ中での無罪判決には、法曹関係者でも受け止め方が分かれている。
「無罪判決を世間の人はとんでもないと批判しますが、刑法理論に基づけば、まともな判決です」
そう語るのは、交通事故弁護士全国ネットワークの加藤克朗弁護士だ。報道を見た限りでの意見としてこう続ける。