「被告は家族からも運転を止められており、それまでにめまいの自覚もあったそうなので、運転中に意識が朦朧とすることは自分で予測できるはずです。『予見可能性が認められず、運転を控える義務を負わせることはできない』とした裁判官の判断は、一般の経験則からずれていると言うしかない。
裁判長の判決後の言葉は“私は有罪にしたいが、法制度に不備があるから、こういう無罪判決になるんだ”ということを言いたかったのかもしれない。しかしこれは法制度ではなく裁判官の資質の問題で、検察が控訴すれば高裁で判決は覆るのではないか」
悲劇を繰り返さないための議論は、罪の重さにおいても終わりが見えないようだ。
※週刊ポスト2020年3月27日号