◆経営厳しい地方空港、赤字は都道府県が補填

 国土交通省の空港一覧によると、日本には拠点空港28、地方管理空港54、その他の空港7、共用空港8、全部で97もの空港が存在する。

 地方管理空港は静岡空港や福島空港など、設置管理者が都道府県で、国際航空輸送網、国内航空輸送網を形成するうえで重要な役割を果たす空港を指す。ここ数年は国内線だけでなく、インバウンド需要で中国、韓国、台湾、ベトナムなどへの直行便が増え、利用客増につながっていた。

 だが、空港経営の現実は厳しい。1月まで中国人客などで搭乗者数過去最多を更新してきた静岡空港とて例外ではない。搭乗者数が過去最高の71万4239人を記録した2018年度の収支をみてみよう。空港設置者の静岡県は3つの収支試算結果を公開している。

【空港管理運営にかかる収支】
・着陸料、土地建物使用料など/収入2億9116万4000円
・保安関係費、空港土木施設管理費、人件費など/支出8億6231万1000円

 収支5億7114万7000円の赤字。収支差額の5億7100万円余は一般財源を投入している。県民一人当たりの負担額は156円。

【空港管理運営及び空港整備にかかる企業会計の考え方を取り入れた収支】
・営業収益+営業外収益/3億2840万6000円(※営業外収益には地方交付税相当額などを含む)
・営業費用+営業外費用/22億3254万1000円(※営業費用には減価償却費等を含む)
・経常損益/-19億413万5000円

【県及び富士山静岡空港(株)の収支を合わせたEBITDA(利払前税引前償却前営業利益)】
(※投資家等が企業分析をする際に使用される指標のひとつEBITDAを用いた試算)
・県/-6億4100万円
・富士山静岡空港(株)/4億9600万円
・トータル/-1億4500万円

 どのパターンの計算方法でも赤字である。発着便数の増加もさることながら、搭乗客以外の空港利用客(物販客、飲食利用客など)を大幅に増やし、いわゆる非航空系事業による収益を確保していかなければ、黒字化は困難。成田空港(2004年度に民営化)の2018年度連結決算を見ると、経常利益は536億円。空港内店舗(飲食店、物販店、免税店など)の売上高が1432億円にも達している。空港ビジネスの必要性が一目瞭然だ。

 大空港に比べ利用客の絶対数が少ない地方空港の収益改善は、ただでさえ難しいテーマだ。そこへもってきてコロナショックで発着便、利用客共に大幅減といった“非常事態”が長期化したら、空港経営は成り立たなくなってしまう。

 地方活性化に欠かせない交通インフラの要である地方空港。その基盤がいま、大きく揺らいでいる。

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