ボディは小さいが、快適なオープンドライブが楽しめるダイハツ「コペン」
2014年に発売された現行コペンは最安グレードが188万6500円。量産車としてはオープンカー世界最安値だ。今回乗ったのは、昨年秋の年次改良で登場した「GR Sport」。トヨタのレース、およびメーカーカスタマイズドカー開発を担うGAZOO Racingとのコラボで生まれたもので、特別製のシャシーや空力部品、強化ボディなどが与えられている。
オープンカーによるドライブは、それはそれは気持ちの良いもの。嫌いな人は嫌いだが、その気持ち良さに魅せられた人は、離れがたいほどにハマる。コペンはそんなニーズに最高の形で応えてくれるクルマだった。
まず素晴らしいのは、軽自動車ゆえにボディが小さく、車外の空気との一体感がことさら強いこと。走っていると、自分の顔の横10cmくらいのところがフロントウインドウでかき分けられた空気の壁になり、その一部が室内に巻き込まれて頬を打つのだ。
これは普通のクルマの窓を開けて走るのとはまったく別モノで、オープン特有の快感だが、コペンはそれが特に顕著に感じられた。ドライブの日は日光で雪に遭遇するほど冷え込んだが、それでも爽快感を求めて降雪時以外はフルオープンで走ったくらいだった。
実は寒冷期はオープンカーを楽しむのには悪くない季節といえる。寒い中をオープン状態で気持ちよく走れるよう、たいていのオープンカーには大きめのヒーターが装備されている。エアコンの風量を最大にし、温度設定を高くすれば、頭寒足熱でこれがまた心地良い。
コペンはアイドリングストップが装備されているが、信号待ちが長かったりすると送風の温度がだんだん下がってくるのがわかる。そんな推移もまた楽しく思えるポイントである。悪天候以外での真の敵は猛暑だけだ。
オープンカーの屋根には幌、機械式可動屋根(バリオルーフ)、取り外し式(デタッチャブルトップ)などいろいろな方式があるが、コペンは電動式のバリオルーフ。開閉にかかる時間は公称20秒。実際には屋根の固定具のボタンを押したりシフトレバーをパーキングに入れたりといった手間が加わるのでもう少し長い時間が必要だが、それでも信号の変わり目で停止したときなどは、青信号になるまでに開閉を完了させることができた。