軽スポーツでも乗り味が高質なダイハツ「コペン」
筆者は2年ほど前にも別のコペンでロングドライブを行っているが、今回乗ったGR Sportはそれとボディやサスペンションが異なる。乗り心地は固いが不快な突き上げは逆に小さく、乗り味は軽スポーツとしては限界と言えるくらいに高質だった。
感心させられたのは路面がガタガタなうえ、減速を促す大きなうねりが随所に設けられている茨城の筑波山を走破したとき。減速うねりを乗り越える際、たいていのクルマはごく低速でないと車体が上下に大きく揺すられる。が、コペンGR Sportは普通車でも手こずるようなそのうねりを、そうと意識しないままスルリと走り抜けられてしまう。
それ以外の荒れた路面でのタイヤの接地感も見事で、路面の破損個所などを踏んでもグリップが失われない。こんなフィールの軽自動車に乗ったのはホンダS660のモデューロXという特別版以来だった。
オープンの楽しさは気持ちよさだけではない。他のクルマや外の人とのコミュニケーションがあらゆる局面でダイレクトというのも、隠れた魅力だ。
たとえばガソリンスタンドに立ち寄ったとき、店員さんが「こちらのレーンへ…あっ、あっちのクルマが出ますね。4番のほうへどうそ~」「ありがとうございます」などという会話が普通に繰り広げられる。間を遮るものがないので、お互い無意識に普通の会話をするし、表情も緩む。オープンエアの究極はバイクだが、オープンカーはヘルメット不要なので、マンツーマンのコミュニケーションの豊かさはその上を行く。
もちろんコペンのようなオープン2シーターは万人に向くクルマではない。屋根を閉じた状態なら荷物は思いのほか大量に積めるが、オープンにするとさすがに手荷物プラスアルファくらいが限界。あくまで独身あるいはファミリーでも自分専用のクルマを持てる人向けに限定されるクルマであろう。
だが、クルマとしての気持ち良さ、楽しさは、他のボディタイプとかなり異なるものがある。所有するかしないかは別として、ぜひ多くの人にこの楽しさを体験してみていただきたいと思う。