2005年に首都圏初の公立中高一貫校、「都立白鴎(※正確には區ヘンに鳥)高校附属」が誕生して以来、毎年高倍率が続いていた公立中高一貫校入試。2019年は「さいたま市立大宮国際中等教育学校」の開校もあって、一段と応募者が増えたにもかかわらず、2020年は一転して応募者が減少したという。一体なぜなのか。安田教育研究所代表の安田理氏が、今年の入試状況と大学合格実績を振り返りながら、その背景に迫った。
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現在、首都圏には22校もの公立中高一貫校があり、中学受験において大きなシェアを占めるようになっている。都県別の内訳を見てみると、東京が11校、神奈川が5校、千葉が3校、埼玉が3校ある。
公立中高一貫校には中等教育学校(高校募集がなく6年間同じメンバーで学ぶ)と高校募集がある併設型と呼ばれる学校がある(〇〇中学校とか〇〇高校附属という校名になっている)。このほか連携型と言われるものがあるが、これは入試を伴わないので、ここでは前2者について取り上げる。
公立中高一貫校の入試は、開校初年度は、小学校の学習範囲からしか出題されない「適性検査」(教科別の問題ではなく融合問題)ということで、地元の小学校では全員が受けたなどというケースもあった。ダメ元で大勢が受けるため、大変な倍率になることもよくある。しかし、最近はきちんと準備しなければ受からないということが分かり、年々倍率が低下するのが一般的な傾向である。
◆都内の応募者 11校中9校が「減」
2010年に都内の公立一貫校11校が出揃ってから今年で11年が経った。2018年、応募者数の合計が初めて9000人を割り込んだが、2019年には多摩地域の学校への女子の応募者が増え、総計9019人(都立一般枠+九段の男女計)と9000人台を回復していた。それが2020年は8476人と近年最低の数字になった。
学校別では、増加は「都立富士高校附属」と「都立立川国際中等教育」の2校だけ。男子だけ増が「桜修館中等教育」、「千代田区立九段中等教育」、女子だけ増が「両国高校附属」、「大泉高校附属」であった。増が2校だけというのは、私の記憶にはない現象である。