スポーツ

春の中距離王者決める大阪杯 有力牝馬2頭の力をどう測るか

今週も無観客での開催となる

 近頃のGI戦線では路線も斤量も異なる牝馬をどう評価するか、という点が大きなファクターとなっている。競馬ライターの東田和美氏が大阪杯について考察した。

 * * *
 GⅠに昇格してまだ4年目なので過去の傾向を検討してもあまり意味がない。今回は出走馬同士の対戦成績に着目してみた。

 出走馬中最年長の7歳マカヒキと6歳カデナは、2017年の天皇賞(秋)で初めて対戦した。勝ち時計が2分8秒3もかかった消耗戦を勝ったのはキタサンブラックでマカヒキは5着、3歳だったカデナは16着に沈んだ。それから2年後、アーモンドアイの強さばかりが目立った昨年の天皇賞(秋)にも両者は出走。このときはマカヒキが10着でカデナは13着(ワグネリアンも出走していて5着)。あくまで後先だけの集計だが、マカヒキはカデナに対しては2戦2勝ということになる。

 2018年のダービーではワグネリアンが勝って、ブラストワンピースが5着。ステイフーリッシュが10着。菊花賞にはブラストワンピース(4着)とステイフーリッシュ(11着)が出走。ブラストワンピースは、暮れの有馬記念で、2016年のダービー以後国内での勝利がないマカヒキ(10着)らを一蹴、ダービー馬を差し置いて最優秀3歳牡馬に選出された。

 現4歳、つまり昨年のクラシック世代ではダービーでダノンキングリー(3着)とレッドジェニアル(8着)が顔を合わせるが、秋はそれぞれ別の路線に。今回出走を回避したヴェロックスに若駒Sで敗れ、クラシック戦線に乗れなかったロードマイウェイは、古馬混合戦の初日に行われた「1勝クラス」から4連勝でオープンまで駆け上がり、チャレンジCでもステイフーリッシュなどの古馬を破って5連勝を飾ったが、金鯱賞ではクラシックホースに完敗。このレースではサトノソルタスが2着に食い込んだ。

 というように、出走馬は中距離のエリート馬ばかりなので、何度か同じレースを走っている。ステイフーリッシュにいたっては他の11頭のうち半分以上の6頭とのべ14回も一緒に走っており、(あくまでも後先だが)1勝13敗。カデナも1勝4敗と負け越している。

 一方、ブラストワンピースは7勝3敗、そしてワグネリアンは5頭とのべ12回顔を合わせていて11勝1敗。ブラストワンピースに昨年の札幌記念で敗れたが、それ以前に2回勝っている。馬にしてみればスタート前の輪乗りで「知った顔が1頭もいない」ということがなく(覚えているかどうかは分からないが)、まるで同窓会のようだ。

 しかしワグネリアンは今回出走する牝馬2頭とは直接対決がない。クラシック王道路線を歩んできたこともあってそもそも牝馬との対戦が少ないのだ。

 3着だった昨年のJCではカレンブーケドールに、さらにその前の天皇賞(秋)で、アーモンドアイはともかくアエロリットにも先着を許している。札幌記念では2頭の牝馬に先着しているが、GⅠでは牝馬に対して3戦3敗。男勝りの牝馬相手だと詰めが甘くなるというのは心情的にわからないではないが、ちょっと気になるところだ。

 ちなみにブラストワンピースも、この牝馬2頭とは初対戦。ただし、これまで国内のレースで牝馬に先着を許したことは一度もない。またダノンキングリーは、中山記念でラッキーライラック、毎日王冠でアエロリット、さらに新馬戦ではカレンブーケドールに勝っており、強い牝馬の扱い方を心得ていそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン