三月二十三日付朝日新聞は、コロナ禍で静まり返ったニューヨークをこう描く。
「警備員の男性が嘆くようにこうつぶやいた。クレージーだ」
クレージーを日本語で表現できない方がクレージーだろう。
二〇一八年九月五日付産経新聞は、ゲームクリエーター田尻智を紹介する連載記事の見出しを「フリークが集まった」とし、本文中で「フリーク(心酔者)」と説明している。ゲームクリエーターには説明がないのもおかしいが、フリークを「心酔者」とするのももっとおかしい。私が説明したいが、残念、もう字数が足りないや。
●くれ・ともふさ/1946年生まれ。日本マンガ学会前会長。近著に本連載をまとめた『日本衆愚社会』(小学館新書)。
※週刊ポスト2020年4月17日号